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CULTIVATION FOR PLATYCERIUM

 

ビカクシダ栽培の概要

○ ま ず 始 め に
 ビカクシダは胞子葉(実葉)と貯水葉で構成された魅力的な着生植物で、南米・アフリカ・オセアニア・東南アジアの
赤道付近の熱帯雨林帯に自生している。 分布する原産地でそれぞれ気候が全く違う為に色んな草姿の原種が存在し、原種の数は15種とも19種以上とも云われている(一般的には現在18種とされている)。そして数え切れない程の園芸品種と交配種はコレクション性が高くマニアとしては嬉しい限りである。 さて、この無数にあるビカクシダの品種であるが、無知なナーセリーが適当に名前を付けたものが流通しており、情報源も著者の解釈で変わっているので、既に原種なのか亜種(ssp.)なのか、品種(var.)か園芸品種(cv.)かも曖昧になっているものが沢山ある。 やはりマニアとしては自分が愛情深く育てている苗の素性は知っておきたいものである。 
ビカクシダは子株(無性芽)をよく出し増殖する。もし増殖したものを他者に渡すのであれば由来だけはしっかりと知っていて欲しい。 
『綺麗なら別に何だっていいじゃん』と純粋に植物を愛でる気持ちも良いが、当サイトではマニアとしての在り方を述べている。 偽物や品種名も判らない様な苗がこれ以上増える事は避けたいものである。   


○ 日 照 
 ビカクシダは樹木の幹に着生し木漏れ日を好む耐影性のシダ類であり、屋内管理でも陽がよく入る部屋なら反射光だけでも育つ種もあるが、日本は原産地と比べると通年の日照が極端に少ないので出来れば日照に当てた方が良く育つ。しかし直射日光に当てると1日で葉焼けを起し酷い場合は枯死に至る。 必ず遮光ネット等で光を和らげてあげる事が必要。 春~秋に掛けては太陽の位置が高く住宅街でも充分な日照を得やすい。しかい冬季は太陽の位置が低くなり陽も短くなるので日照を確保する事が大切になる。また冬は当然ながら保温してやらねばならない。 もし冬季に日照が無くなってしまう栽培環境ならビカクシダは成長を止めてしまい葉が傷んでボロボロになってしまう。 その様な場合では根茎も弱り春からの立ち上がりが随分遅れてしまう。 ビカクシダに限らず植物育成の鍵は通年の日照をどれだけ確保出来るかである。 いくら知識と栽培技術があっても日照がなければ大したものは作れない。 


○ 潅 水
 ビカクシダ育成の肝は潅水のタイミング掴む事である。 自生地では雨季と乾季があるものの、雨もよく降り風通しも良い通年安定した気候である。 しかし四季がある日本で赤道付近の熱帯植物を栽培するには水加減が難しいのである。
『基本的には乾いたら潅水する』である。 何時もたっぷり潅水すると貯水機能の高い貯水葉に隠された根茎が濡れっぱなしの状態になり根腐れしてしまう。根腐れすると新しい胞子葉や貯水葉が小さく萎縮して生えてくるので直に判る。 逆に乾かし過ぎると貯水葉がドライアウトしてしまい根が死んでしまう。この様な状態では新たに展開する葉が小さくなる。潅水のタイミングは栽培環境によって大きく変わるのでこれは肌で覚えるしかない。 潅水法にも少しコツがある。P.bifurcatumの様に貯水葉の縁が密着する系統は基本的に乾燥に強いので乾かし気味にして植付けている鉢やヘゴ材が軽くなっていたらタップリ潅水してやる。 P.coronariumの様に貯水葉の上部が王冠型になる系統は水遣りを気を付けなければならない。原産地ではよく雨が降るが水を受止めているのは最新の貯水葉だけで、古い貯水葉は保水と共に余分な雨が掛かり過ぎない様に後部にたたみ込んで枯れ込み深層部の根腐れをガードする。これを知らずに王冠の上から大量の潅水を行うと深層部が何時までも濡れっぱなしで根腐れの原因となる。 また潅水は春と秋に集中すること。 日本の夏は原産地よりも遥かに暑くなるので中株~大株は貯水している水が乾く事なくお湯になってしまい植物体の細胞を壊死させてしまう。夏季は風通しを優先させ潅水は表面が濡れる程度に小まめに行う。 冬は辛めに管理するのは当然であるが。 しかし潅水法は種によって大きく変わってくる。ビカクシダは原産地で環境が大きく変わるので同じ潅水タイミングで全てのビカクシダを栽培していると種によって枯れるものと育つものが出てくる。この水加減は種毎に自生地環境を考察して育てなければならない。 


○ 用 土 と 肥 料
 ビカクシダは鉢に植付けたりヘゴ板に活着させてたりして管理する。 最近はワシントン条約の規制でヘゴ材が入手し難く高価なうえにスッカスカのヘゴ板だったりするので使われなくなってきた。杉板を加工したものにアスロンテープ等でビカクシダをくくり付けると良い。 海外では角カゴ(キッチン用品の水切りカゴ)にベラボンやミズゴケで植付けている栽培家をよく見掛けるが、これは安いし通気性も良いので最高だと想う。
植付けるマテリアルはミズゴケが主流である。 ミズゴケで植付ける場合は少し固めに植付ける。柔らかく植付けると水が停滞して用土の劣化や根腐れを引き起こす。 硬めに植付ける事で停滞水を無くし乾きやすく出来き、また根張りが良くなる。 
ミズゴケは劣化が早いので2年毎に植え替える事を推奨する。 植替える時期は植物が活性化する春先にするが、実はこの植替えが植物体の活性を上げる重要な作業なのである。 植物は素晴らしい環境下であってもストレスが全く無いと生育が緩慢になってしまう。 植替えで古い根を引き剥がす(ストレスを与える)事で植物体が活性化し新しい用土に根を張るのである。 
植物体が愚図っている場合は根が傷んでいる場合が殆どなので、この場合は直に植え替えると同時に貯水葉裏側の古い貯水層を大胆に引き剥がし(ビカクシダは貯水葉の隙間にも根を張っているので)新しい用土に植付けてやると調子を取り戻す場合が多い。
 ビカクシダはとても肥料を好む。 肥料の有無で育成状態が大きく変わる。 春先と初秋に固形の置き肥を与え、私は希釈倍数1,000倍以上の液体肥料を1ヶ月に一度与えているが、与える頻度/希釈倍数は栽培環境で変えてゆくと良い。
但し濃い過ぎる肥料は肥料焼けを招くので程々に。 熱帯夜が続く夏の猛暑と冬季は肥料を控える。
固形肥料は油粕が一般的であるが虫が湧きやすい。 私は最近オスモコートを使っているがこれが最高に良い。

○ 病 害 虫
 うぎゃー!



















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Platycerium culture method and culture apparatusenthes,and Platycerium cultivation fertilizer.

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